弊社は昨年12月に350トン成型機を、名機製作所製M-350-SJから、「日本製鋼所 J350AD-890H」に更新しました。
今回は導入のその後ということで弊社のホームページをご覧頂いてる業界以外の皆さまにも極力ご理解いただけるように報告させて頂きます。
その前に、まず皆さまにはこの場を借りてプラスチック射出成型金型の簡単な説明をさせていただきます。
そもそも金型とは、製品を早く、安く、均一に作るための金属でできた型のことをいいます。
例えば、タイ焼きを作る鉄板も金型の一種です。水で溶いた小麦粉がドロドロに溶けたプラスチックであり、タイ焼き器に材料を流し込んで焼き上げて取り出す一連の動作が射出成型と言えばお分かり頂けるでしょうか。
しかし、タイ焼きの場合ははみ出した皮の部分が香ばしくて美味しかったりしますが、プラスチックがはみ出すと、ナイフ状の危害性のあるバリになってしまいます。
そのバリを防止する為に金型を強く閉めておかないといけないのですが、その力が成型機の名称の一部でもあります”350”という数値です。
単位の”トン”で表示されますので、J350AD-890Hは、350t(トン)の力で金型を締め付ける能力がある機械・・・という訳です。
では本題に入らせていただきます。
新旧の成型機の大きな違いは、以前のM-350SJは金型を締め付ける機構が油圧式であり、今回導入した成型機はモーター駆動という点があげられます。
油圧式成型機にもそれなりの利点は有るのですが(締め付ける力が粘りがある・・・など)調整がラフになってしまい、昨今の精密な成形を行えるようなキメ細やかな制御ができませんし、油を使いますので、どうしても工場が汚れてしまいます。
また、当社のM-350SJは、導入から20年以上が経ちオイルラインの修理を頻繁に行わなければならず、メンテナンス面でのコストやまた床への油漏れによる清掃作業などによる時間のロスが増えてきました。
今回導入したモーター駆動になってそれらの問題点が解消され、更に、油圧式の場合必要だった暖機運転(油温上昇)の時間が減り、立ち上がりが大変スムーズです。
操作系もダイヤル式からタッチパネル移行し、コンピューター技術の進歩もあいまって様々な情報を入力出来るようになりました。
これにより、事細かな条件出しが可能になった事と、成形条件の再現が正確になった事で、お客さんにより良い製品を安定して納めることが出来るようになりました。
今回は代替えを行った最大の理由としては、スクリューやシリンダ-(プラスチック溶解したり、金型内に押し込んだりする機構)の部分の摩耗が挙げられますが、新しい成形機のメーカーであります日本製鋼所様は、戦時中に戦艦大和の砲身なども造っていたメーカーですので、スクリューの耐久性にも大変期待しております。
まだ慣れてない部分も多々ありますが、使いこなしていけば更に性能を引き出していけると思います。